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2021年5月26日水曜日

新渡戸稲造の至言から(5月26日)

 

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「海外拡張を求むる国は商業または工業の先進国である。古来、純然たる農業国にして植民地を有せしものはない。」(新渡戸稲造『植民政策講義及論文集』)

 

・新渡戸の生きた時代は100年以上前のこと。1880年頃までは、英国が工業国、米国が農業国としてあり、英国は米国が木材等を生産することはさせても造船等の工場を建てることを禁止していた。(藤井茂・長本裕子著『すべての日本人へ 新渡戸稲造の至言から』157頁参照)

 

・英国は産業革命を起こした国でもあり、航海技術や武器生産によって世界の海を支配した大英帝国としてPax Britanica時代をもたらした。20世紀に入り、米国がベルト・コンベアー等のオートメーション化によって工業生産力を高め、広大な土地と移民の原動力を活用して発展させると、2度の世界大戦や冷戦があっても米国の軍事産業等によってPax Americaと呼ばれる時代になった。が、現在、その米国自身が生み出した新たなIT社会の到来で、新渡戸が生きた時代からは想像もつかない時代が、ポスト工業化時代としてやってきた。その新たな技術やITを活用して自国の発展のみならず、海外拡張しているのが、巨大国家中国である。21世紀以降、Pax Chinaの時代が来るのか、それとも対立や混乱の世界となるのか、誰にも分からない。

 

・農業も工業もサービス業も軍事産業も、今や全てITに依存している。サイバー攻撃されると、生活が麻痺することもある。病院がサイバー攻撃されたニュージーランドでは、PCが動かない中、結局、手動でその場を凌いだ。危機管理に、人の知恵と力は欠かせない。

 

・新渡戸の鋭さは、時代が変わっても、その言わんとする所は変わらないということ。すなわち、農業より工業や商業が世界を支配したと述べた新渡戸の観察は、今なら、工業よりITが世界を支配する時代と置き換えられる。

 

IT社会は、民主主義を発展させるのか、それとも監視を強める専制主義を強化させてしまうのか。

 

・「もしエイリアンが我々を訪問したなら、ネイティブアメリカンにとって望ましいことではなかったコロンブスのアメリカ大陸発見と同じ結果を招くでしょう。そのような先進文明を持つエイリアンはおそらく宇宙をさすらっていて、辿り着いた星ならどこでも支配し植民地化することを目論んでいます。(これに備えるためにも)私の数学的思考では、エイリアンがどんな存在であるのかを追求することは現実の課題であり、まったくもって理性的な行為なのです。」(スティーヴン・ホーキング

 

・「金と権力のシステムが、対話の生活圏を植民地化してしまっている。」(ユルゲン・ハーバーマス

 

・‛Colonialism. The enforced spread of the rule of reason. But who is going to spread it among the colonizers? ‘(Anthony Burgess

Read more: https://www.wisesayings.com/colonialism-quotes/#ixzz6vwnlGlIs

 

・‛A State in the grip of neo-colonialism is not master of its own destiny. It is this factor which makes neo-colonialism such a serious threat to world peace.Kwame Nkrumah

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