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2021年5月30日日曜日

新渡戸稲造の至言から(5月30日)

 5月30

「花の王国にあって、ハギはつつましく、落ち着きふかく、明らかに心足りて、もっとも低い位を受ける。…萩がその貞潔な飾り気なき装いを見せるとき、その崇拝者は、ただ溜息をもらすばかりである。」(新渡戸稲造『編集余録』)

 

・新渡戸は萩をこよなく愛し、第一高等学校校長時代、殺風景だった寮に私費で何百本も萩を植えたほどである。(藤井茂・長本裕子著『すべての日本人へ 新渡戸稲造の至言から』161頁参照)

 

・萩は、英語でbush cloverと呼称され、西洋では雑草の一種。その控えめな姿に、花ことばは、「内気」、「柔軟な精神」等。

 

・萩は秋の七草の最初に出てくる花(萩、ススキ、桔梗、ナデシコ、女郎花、クズ、フジバカマ、これそ七草)。秋に、満開の紅白の萩を見つけると、しっとり落ち着いた日本の秋を感じさせられる。

 

・萩は位が低く控えめと言われるが、大きく育った萩が花を咲かせると、静かな秋でも、とても華やかに感じられる。そのせいか、萩の花詞の一つが「前向きな恋」。

 

・新渡戸のみならず、昔から日本人は萩を好んだらしい。その証拠に、万葉集の中でも、一番詠まれた花の一つである。例えば、「妹子に 恋ひつつあらずは 秋萩の 咲きて散りぬる 花にあらましを」や「高円の 野辺の秋萩 なちりそね 君が形見に 見つつ偲はむ」がある。

 

・萩は、草冠に秋と書く。日本で出来た漢字らしい。(中国のハギは別ものと聞く。)それだけ、日本人にとって、秋と萩は切り離せない。

 

・春は牡丹の花が咲くから「牡丹餅」、秋は萩の花が咲くから「おはぎ」と呼ぶ。ご先祖様に感謝する春秋のお彼岸には欠かせないお供え物。

・‛Autumn is a second spring when every leaf is a flower.Albert Camus

・‛Fall has always been my favorite season. The time when everything bursts with its last beauty, as if nature had been saving up all year for the grand finale.‘ Lauren DeStefano, Wither

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