5月30日
「花の王国にあって、ハギはつつましく、落ち着きふかく、明らかに心足りて、もっとも低い位を受ける。…萩がその貞潔な飾り気なき装いを見せるとき、その崇拝者は、ただ溜息をもらすばかりである。」(新渡戸稲造『編集余録』)
・新渡戸は萩をこよなく愛し、第一高等学校校長時代、殺風景だった寮に私費で何百本も萩を植えたほどである。(藤井茂・長本裕子著『すべての日本人へ 新渡戸稲造の至言から』161頁参照)
・萩は、英語でbush cloverと呼称され、西洋では雑草の一種。その控えめな姿に、花ことばは、「内気」、「柔軟な精神」等。
・萩は秋の七草の最初に出てくる花(萩、ススキ、桔梗、ナデシコ、女郎花、クズ、フジバカマ、これそ七草)。秋に、満開の紅白の萩を見つけると、しっとり落ち着いた日本の秋を感じさせられる。
・萩は位が低く控えめと言われるが、大きく育った萩が花を咲かせると、静かな秋でも、とても華やかに感じられる。そのせいか、萩の花詞の一つが「前向きな恋」。
・新渡戸のみならず、昔から日本人は萩を好んだらしい。その証拠に、万葉集の中でも、一番詠まれた花の一つである。例えば、「妹子に 恋ひつつあらずは 秋萩の 咲きて散りぬる 花にあらましを」や「高円の 野辺の秋萩 なちりそね 君が形見に 見つつ偲はむ」がある。
・萩は、草冠に秋と書く。日本で出来た漢字らしい。(中国のハギは別ものと聞く。)それだけ、日本人にとって、秋と萩は切り離せない。
・春は牡丹の花が咲くから「牡丹餅」、秋は萩の花が咲くから「おはぎ」と呼ぶ。ご先祖様に感謝する春秋のお彼岸には欠かせないお供え物。
・‛Autumn is a second spring when every leaf is a flower.‘(
・‛Fall has always been my favorite season. The time when
everything bursts with its last beauty, as if nature had been saving up all
year for the grand finale.‘ (Wither)
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