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2021年11月26日金曜日

岡倉天心『茶の本』を原文で読む会(11月の報告と12月のお誘い)

  11月24日、NipponIAでは、岡倉天心の『茶の本』(Okakura Kakuzo, The Book of Tea)を、英語の原文と日本語翻訳の両方で、第一章'The Cup of Humanity'を読みました。

 参加者それぞれが持ち寄ったテキストは、英語は原文で全く一緒ですが、日本語訳はまちまちです。それも面白いかも、と思い、試験的に、違う日本語でも気にせず輪読しました。日本語の表現が違っても内容が理解できるので、違和感なく進めました。

 それにしても、The Cup of Humanity一つ取ってみても、Cupには器、椀、茶碗、茶器等、Humanityには人情、心、人間愛、人類、人道等、複数の翻訳の仕方がありました。

 また、日本語訳では「茶道」という一言で訳されていても、原文の英語では、Teaism, tea ceremony, Tea Cult, Philosophy of Tean等、複数の表現が見受けられました。

 岡倉天心が、この一章から何を言わんとしていたのか、改めて100年以上前に思いを馳せて、皆で考えてみました。

・『茶の本』が出版されたのは1906年。明治維新の廃仏毀釈等で日本の仏像等の美術品、日本文化が破壊されるのをフェノロサと共に目の当たりにした岡倉が、それではいけないと世界を通して、実は日本に訴えていたのではないか。

・茶の文化を例に挙げながらも、本当は、もっと広い日本文化、日本の精神を題材にしたものだろう。

・「東洋の民主政」(Eastern Democracy)に触れた部分があるが、日本の江戸時代の町人も含めた一般大衆の意識の高さ、町内会的まとまりは、幕府や藩主でさえ認めていたものではないか。その根底には、寺子屋等の教育の普及もあったのではないか。

・インドの話も出てくるが、インドは人口的に世界一の民主主義の国と言われるか、カーストもあり、貧富の格差が大きく、教育、倫理観もまちまちである。

・インドは仏教発祥の地ではあるが、現在、仏教の精神文化を受け継いでいる人はそれほど多くないようだ。

・岡倉は、西洋(the West)と東洋(the East, Asia)を対比させて、西洋人に東洋を見下すなと述べてはいるが、実は、東洋と西洋は相反する対立するものではなく、違いを補い合う、場合によっては融合できるものと期待しているのではないか。それが、The Cup of Humanityの意味ではないだろうか。その点、『東西相触れて』や"Bushido, the Soul of Japan"を著した新渡戸稲造とも共通するところがある。

・「美術は國の精華なり」という岡倉天心の言葉は、国力を計るのにその文化力(スマート・パワー)を重視した見方である。当時、国力は、圧倒的に軍事力等のハード・パワーで見られていた。ハード・パワーがないと「野蛮な国」とされていた当時の国際情勢に、岡倉は疑問を呈したのである。

 今回、11月24日の会で驚くべきことは、参加者の方が、何と美術雑誌『國華』の創刊号をお持ち下さったことです。1889年(明治22年)に創刊された本物です。こんな貴重なことはございません。この美術雑誌『國華』は現在も刊行されている雑誌では世界最古だそうです。日本の素晴らしさを、改めて発見致しました。

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さて、次回の「岡倉天心『茶の本』を原文で読む会」は以下の要領で行います。

岡倉の英語は難しいですが、様々な日本語訳に触れ、その後の知的交流は、なかなか普段得られないものです。Why don't you join us?

第3回「岡倉天心『茶の本』を原文で読む会」

日時:2021年(令和3年)12月15日(水)18時半~20時半

場所:千代田区麹町区民館 

会費:2000円

内容:”The Book of Tea”((Okakura Kakuzo)第2章

持ち物:英文及び日本語訳テキスト(お持ちでない方には当方でご用意致します。)

申し込み・お問い合わせ:電子メール<nipponia2020@gmail.com>

ご氏名、ご連絡先をご明記下さいますようお願い申し上げます。



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