12月15日、NipponIAでは、岡倉天心の『茶の本』(Okakura Kakuzo, The Book of Tea)を、英語の原文と日本語翻訳の両方で、第2章を読みました。
第2章(Chapter 2)は、’The Schools of Tea (茶の諸派、流派)というタイトルだったので、てっきり○○家とか○○流という茶道の流派の話なのかと思って読んだら、全く違いました。
内容は、お茶の歴史で、中国の唐、宗(Sung)、明の時代で、茶の製法の仕方や入れ方の違い、お茶に対する考え方の違いがあり、3段階に分かれているということでした。流派(schools)というよりは、段階、区分(stages)の説明でした。
結局、日本において茶道(Teaism, tea ceremony)として確立したのは、宗の時代の道教を思想とした抹茶の儀式が、禅僧によって伝えられ、それが全国にも広まったからだそうです。中国においては、それは明の時代に失われ復活することはなかったということです。
現在、私達が、お茶葉やティーバッグをお湯やお水に浸して飲むのは、明からの流れのようですが、粉末‘powdered tea’のお抹茶を点てて‛the whipped tea’を頂く茶道は宗からの流れだということです。
岡倉天心は次のように記述しています。
‛Chinese tea is a delicious beverage, but not an ideal.‘(第14段落)
‛Teaism is fully established in Japan.‘(第15段落)
→「茶道」と訳された’Teaism’という言葉は、第1章では頻繁に出てきましたが、
お茶の歴史(三区分)を説明した第2章では、第15段落で初めて現れます。
そして、岡倉は次のように結びます。
‛It is in the Japanese tea ceremony that we see the culmination of tea-ideals.’(第16段落)
読後の参加者間の議論は、とても深い考察でした。
・岡倉は、道教と仏教をどのように位置づけたか。
→次回に読む第3章が道教と禅宗についてです。何かヒントを得られるでしょうか?
・日本の神仏混合と道教の思想?岡倉(家)の仏教の立場?
・日本の様々な宗教宗派とお茶の関係?
・お茶を神様に捧げる?(献茶)「美」とは、大きな羊を神様に捧げること。
・時代背景と宗教、思想、芸術、茶道。日本独自の文化と世界共通の普遍性。
→意外と日本人が忘れているものを西洋人が継承・実践している。
等々
教養豊かな参加者の方々のお話は、尽きることがございません。
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さて、次回の「岡倉天心『茶の本』を原文で読む会」は以下の要領で行います。
岡倉の英語は難しいですが、様々な日本語訳に触れ、その後の知的交流は、なかなか普段得られないものです。Why don't you join us?
第3回「岡倉天心『茶の本』を原文で読む会」
日時:2022年(令和4年)1月26日(水)18時半~20時半
場所:千代田区麹町区民館
会費:2000円
内容:”The Book of Tea”((Okakura Kakuzo)第3章
持ち物:英文及び日本語訳テキスト(お持ちでない方には当方でご用意致します。)
申し込み・お問い合わせ:電子メール<nipponia2020@gmail.com>
ご氏名、ご連絡先をご明記下さいますようお願い申し上げます。
(注意)新型コロナ(オミクロン株)等の状況によっては、時間変更や延期・中止もあり得ますので、ご了承下さいませ。その場合は、申し込みの方にご連絡致します。
NipponIA事務局
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