8月12日
「穏かにして滑かなるは人好きのするものなれど、気骨なきまでに柔らかきは頼み甲斐なし。出来ぬことも容易く請け合い、正しからざることをも無造作に引き受ける人は、女子どもの一時の相手、生涯ともに事を計るに足らず。」(新渡戸稲造、『一日一言』)
・誰でも褒められれば嬉しい。だから人を褒めることは意外と易しい。でも、言いにくいことを注意して自分を向上させてくれるのが真の友。家族みたいな存在。
・新渡戸ははっきりと、優しいだけ柔和なだけでは信頼できる人ではなく、気骨と正義感、正直がより重要だと説いている。そういう相手を選びなさいと教えてくれている。
・A
friend in need is a friend indeed. 「(困難な時に)頼れる友が真の友。」
・「女子どもの一時の相手」という言葉に現代人は、「女子ども」を馬鹿にしてと反応する人もいるかもしれない。しかし、新渡戸が女性教育に熱心に取り組んだ実績から、女性を蔑視していなかったことは明らかである。ここでいう「女子どもの一時」とは平時のことを言い、問題ない時は優しいだけの人で良いが、「生涯ともに事を計る」場合、すなわち荒波も来る有事の場合を含め、厳しい世の中を渡るには、「真の友」が必要だということなのだろう。
「出来ぬことも容易く請け合い、正しからざることをも無造作に引き受ける人」も現実にはなかなか居ない。その時点で、すでに信頼関係があってのことだろう。受け入れ難いことまで言えることは、相当気心が通じてなければできない。「生涯ともに事を計る」ことができる相手とは、要するにそういう相手ということだ。そのような関係を作る必要が前提としてある。
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