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2020年8月29日土曜日

新渡戸稲造の至言から(8月29日)

 

829

「飯炊き婆さんに“どうだ分かるか”と尋ねる。“分かる”というと、すぐ次を書くといったようにして書いた。(新渡戸稲造『読書と人生』)

 

・新渡戸は、誰にもわかりやすく書いたり語ったりしたようだ。同時に、お手伝いさん等、職業や地位に関係なく、様々な人から意見を聞いた。偉そうにしない、知ったかぶらないのが新渡戸流だった。

 

・実は、頭の良い人ほど、誰にでも分かりやすく簡単に、難しい事も説明できる。一般人に分かりにくいように専門語を並べたてて、偉そうに話し、分からない人達を馬鹿にするような人は、本当はその事を心底奥深くまで理解していないのかもしれない。

 

17世紀のフランスの哲学者パスカルは、ある侯爵夫人(La Marquise)に宛てて長い手紙を書いた。その最後に、彼は、「すみません。時間がなくて手紙が長くなってしまいました。」と付け加えた。逆説的ではあるが、パスカル言わんとしたことは、時間があれば頭を使ってより簡潔に書けたということだ。だらだら難解に書くよりも、分かり易く短く書く方がより高度で難しい作業だということだ。

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